Phantasie File

ファンタジーゲームとファンタジー作品の考察や感想

Wizardryへの思い入れ

 

ある程度、CRPG(コンピューターロールプレイングゲーム)に興味がある方なら「Wizrdry=ファンタジーRPG始祖説」は販売側の都合などによる後付けの「箔」である事は自明です。

それは箔をつけた側であり、販売者であるアスキーでさえ、発売前はこんな記事を掲載(LOGIN1983年11月)していたという事で分かる。

安田均氏の記事 家庭用CRPGの元祖を正確に記載

また、同記事にはWizrdryやUtimaの記載もある。

推してはいるが「元祖」ではない

先行していたUtimaシリーズも「名作」と評価

また、Wizrdryよりも登場が早いUtimaについても、同作品のジップロックに入れて売ってたようなレベルの同人ゲーム「Akalabeth」(1979)にも記載がありこれも「初期の名作」と説明。

さて、なぜ資料を引っ張り出してまでこんな事を書いたか?

それは、いまだに「間違った事実を確認も疑いもなく書いてしまうライターが結構存在する」から。

過去の記事を全部引っ張り出せとまでは言いわないが、ネットでも簡単にできる程度の事実確認や裏取りせず、アップデートしていない役立たない情報や妄信を垂れ流すのはNG。プロとして矜持やプライドは持ってほしいもの。

さらに、当時知られていなかったPLATOのゲーム群が日本でも近年ロールプレイングゲームサイドNo1(2014)の記事*1によって知られるようになったが、その記載がある同号の記事すら「Akalabethが元祖」という記載を専門誌でさえもやる業界だからです(編集者止めて・・・)。

アカデミックな土台のないサブカルチャーでは、歴史の捏造簡単です。SNSやゲーム関係書物でも何度も発生しおり、気を抜くといつの間にか事実される。このような点を踏まえて書きました。

特にWizardryは自分として思入れが強い作品であるため、後世に伝えねばという使命感というほどではなく「可能ならば正しく伝わって欲しいな」という希望でまとめた。

 

今回はこれだけだと少しつまらないので、自分がWizardryでコレもパロディじゃないかな?と思った部分。

ワードナ―事務所前でのチーム清涼飲料の一コマ

いまだにFC版狂王の試練場(1987)でプレイしており、コレはその時のもの。このボス前のジョークは『魔法がいっぱい!』に出てくる魔法使いの棲家と似ていると。

これはあのオズの魔法使いシリーズのL.フランク・ボーム氏初期作品で低年齢用ファンタジー小説です*2

で、その短編集で一つに、悪の魔法使い(Wicked Wizard) にポーションの材料として、美しい姫が「親指」を取られしまい取り返すと言うお話。

その魔術師の隠れ家の扉には

A. WIZARD, Esq.
Office hours:
From 10:45 until
a quarter to 11

という文字が書かれた看板が・・・。

Wizrdryのこんな感じの緩さが好きで、カシナードは名匠ではなくフードプロセッサ、AC0は例えるならシャーマン戦車、宿ではVISAがOK、カント寺院は死者復活50%セールするような世界が方が好きです。あと殺人ウサギも良い。

あぁ『Vorpal Bunnies』と言えば、有名なDnD(Dungeons & Dragons)公式認可ファンジン『The Dungeoneer』創刊号(1976年6月)で、モンスターとして提案されておりステータスも存在します。

オールドDnD版 殺人うさちゃん

世界中(自分も含めて)で愛されていますねモンティパイソンの『殺人ウサギ(Rabbit of Caerbannog)』。

 

以上です。

 

*1:実はウィザードリィコレクション(1999)で既にPLATOの作品を参考したとロバートウッドヘッド氏がインタビュー答えており、もっと早く手に入れれば後悔中

*2:自分が所持しているのは天野義孝氏イラストの古い版で結構気に入っている